#5 アスリートのための日焼け対策ガイド|紫外線がパフォーマンスに与える影響と今日からできる予防法

競技力向上

はじめに

皆さん、運動中や部活動中の日焼け対策、しっかりできていますか?

「日焼け=健康的」というイメージは過去のもの。現代のスポーツ科学においては、紫外線による皮膚へのダメージは、アスリートのパフォーマンス低下に直結する重大な問題として認識されています。

最近では、日焼け止めを塗るアスリートが増えてきました。
2023年夏、甲子園で優勝を果たした慶應高校の丸田湊斗選手も、こんなコメントを残しています。


「焼けたら赤くなるだけだし、ヒリヒリして痛くて…。母にもずっと日焼け止めを塗れって言われていた。日焼けはやけどなので、そこに疲労回復が使われるから、日焼け止めはしっかり塗るようにしている」

(東スポWEBより)

このように、トップアスリートたちは日焼けを“疲労”や“ダメージ”として捉え、意識的に予防しているのです。

本記事では、科学的な根拠をもとに、紫外線がアスリートの体にもたらす影響と、その具体的な対策を紹介していきます。

日焼け(紫外線)がアスリートに与える影響

1. 酸化ストレスと筋肉疲労への悪影響

  • 紫外線は皮膚で活性酸素(ROS)を大量に生成します。これが細胞膜の脂質やタンパク質を酸化し、筋肉の修復や回復機能を妨げることが報告されています。
     – ある研究では、UV暴露が活性酸素を増やし、筋肉疲労を長引かせるとし、Journal of Applied PhysiologyやEuropean Journal of Sport Scienceの調査では、UVにさらされたアスリートで筋ダメージや疲労回復スピードの低下が確認されています 引用
  • 長時間のUV暴露は、ビタミンA・Eなどの抗酸化栄養素を皮膚内で消耗し、さらに酸化ストレスを助長するといわれています。

2. 皮膚バリア機能の破壊と感染リスク増加

  • 紫外線UVB/UVAは、皮膚角層(ストラatum corneum)内の細胞接着を壊し、バリア機能を低下させます。PNAS論文によれば、UV照射は細胞間結合を破壊し、皮膚の物理的保護能力を著しく低下させることが示されています。引用
  • また、オフライン( ex vivo )実験でも、UV暴露は角層バリアの分子構造に損傷を与え、角質層の崩壊や細胞死を引き起こすことが確認されています。
  • バリア機能が低下すると、トランスエピダーマル水分喪失(TEWL)が増加し、炎症や細菌感染(汗疹など)のリスクも上昇します
    引用

3. DNA損傷と免疫抑制、皮膚老化・皮膚がんリスク

  • UVは皮膚細胞のDNA(ピリミジンダイマーなど)を直接損傷し、炎症や細胞死(やけど・紅斑)を引き起こします。WikipediaのSunburn記事では、これはUVによる直接的なDNA損傷に基づく反応として解説されています引用
  • さらに、UVによる炎症シグナル(NF‑κB、IL‑1、IL‑6、TNF‑αなど)の活性化が知られており、これが免疫細胞(ランゲルハンス細胞等)の機能低下および全身性免疫抑制につながることも示されています引用
  • 長期的には真皮内のコラーゲン分解酵素(MMP-1/9)が増加し、コラーゲン合成が阻害されることで、皮膚の弾力性低下・たるみなどの老化(フォトエイジング)が進行します。

4. 創傷治癒遅延と怪我の治りへの影響

  • UVの酸化ストレスによってコラーゲン生成が邪魔されることで、擦り傷や切り傷の治癒が遅れることが示されています。
  • IL‑15などの運動によって誘導される皮膚の修復因子の働きも、過剰なUVによって低下するという報告があります(原稿内引用と整合)引用

5. 免疫・炎症の増大と皮膚がんリスク

  • UVは皮膚の免疫監視機能を乱すことで、皮膚がん(基底細胞がん・扁平上皮がん・メラノーマ)の発症リスクを高めます
  • 特に屋外スポーツを頻繁に行うアスリートは、日焼けによるスポット的な深刻なUV暴露により早期老化・がんリスクが増加する点が示されていますresearchgate.net

まとめ

ダメージの種類メカニズムと影響
酸化ストレス・疲労蓄積活性酸素増→筋肉修復遅延
バリア機能破壊角質接着破壊→感染・炎症リスク↑
DNA損傷・免疫抑制・老化NF-κB/シトカイン誘導→がんリスク↑
創傷治癒遅延コラーゲン阻害&修復因子低下

紫外線の影響は、単に「肌が黒くなる」といった表面的なことにとどまりません。
疲労の蓄積、筋肉の回復遅延、免疫機能の低下、そして怪我の治りの遅さ──
見えないところで、アスリートのコンディションに大きな負担をかけています。

だからこそ、屋外で日々努力を続けるアスリートにとって、紫外線対策は健康を守ること、そしてパフォーマンスを最大化するための重要な準備のひとつです。

ここまでで、紫外線がアスリートに与える影響や、そのリスクについて理解できたと思います。

でも、実際のところ──
「自分と同じようなアスリートたちは、どれくらい紫外線対策をしているんだろう?」
そう思った方もいるのではないでしょうか。

次のセクションでは、学生アスリートや海外の競技者たちが日焼け対策をどれだけ実践しているのか、その実態をデータや調査結果をもとに紹介していきます。
自分の状況と照らし合わせながら、改めて「紫外線対策の必要性」を感じていただけたらと思います。

実際の日焼け対策:大学生アスリートの現状

① 日本の大学生アスリートの実態

法政大学の調査(大学生190名対象)によると:

  • 60%が「特に何もしていない」と回答
  • 顔の対策をしているのは約21%、身体用日焼け止め使用は約17%、帽子やサングラス着用も10~20%程度にとどまる
  • 約67%が“これからも日焼け対策はしない”前熟考期実行期はわずか3.1%という状況でしたsndj-web.jp+5hosei.ecats-library.jp+5jstage.jst.go.jp+5j
    stage.jst.go.jp

つまり、ほとんどの学生アスリートは、日焼け対策への関心・行動が極端に低い状態にあることが明らかです。

② 海外(NCAA)アスリートにおける実態

米国の大学運動部(NCAA)アスリートを対象とした調査では:

  • 約43%が「過去1週間に一度も日焼け止めを使わなかった」
  • 31%が月3日以下の使用、18%が4〜6日使用、8%が毎日使用していると報告
    ma1.mdedge.com
  • また別の調査では、「75%以上の時間に日焼け止めを使っている」アスリートはたった50%、さらに“塗り直す”習慣があるのはわずか4.8%のみでした
    cir.nii.ac.jp+2sciencedirect.com+2sndj-web.jp+2

「日焼け予防が重要」という認識はあっても、実際の行動が伴っていない現実が数字から見えてきます。


なぜこれだけ差が生まれるのか?

多数のアスリートが日焼け対策に踏み切らない理由としては:

  • 面倒、ベタつき、忘れやすさなど使用における不快感
  • 「焼けてもいい」「肌が黒い方が健康的」という文化的・心理的背景
  • コーチや環境の指導・サポートが不足している点

特に、NCAA調査では「コーチからの啓発があるチームでは使用率が明らかに高い」という報告もあり、教育や環境の影響力が大きいことが示唆されています。
cir.nii.ac.jp+4sndj-web.jp+4jstage.jst.go.jp+4
hosei.ecats-library.jp

「ほとんどの学生アスリートは対策をしていない」という事実は、逆に言えば 今すぐ行動を始めるチャンス でもあります。

続くセクションでは、その差を埋め、今日から簡単に始められる科学的根拠に基づいた具体的な対策を紹介します─対策の必要性と実践方法をしっかりつなげる構成にしていきます。

今日から実践できる日焼け対策

① 日焼け止めを使おう(スポーツ向けを選ぶのがベスト)

  • SPF30〜50の日焼け止めを、練習前15〜30に塗布し、2時間おきや汗・タオル後にこまめに塗り直しましょう。
  • スポーツ用の日焼け止めは、ウォータープルーフ・汗・摩擦耐性があり、ベタつきにくく落ちにくい処方になっています。例えば水や汗に強い処方でありながら肌に優しい配合の製品が多く、屋外スポーツ中も高い紫外線防御を維持できます。
  • ジェルタイプ/スティックタイプを使えば手を汚さず軽快に塗布でき、「塗るのが面倒」「ベタつく」などのストレスを軽減しやすいです。

② UVカットウェア&帽子・サングラスの活用

  • UPF(紫外線防御指数)付きの長袖シャツ、アームカバー、ネックガード付き帽子などを練習に取り入れましょう。軽く通気性が高い素材でも、97%以上の紫外線削減効果があるものもあります。
  • UVカット効果が99%以上、UV400規格対応のスポーツ用サングラスは、まぶしさや紫外線から目と目の周りの皮膚を守ります。ラップアラウンド型なら横からの光もガード◎。

③ 日陰で休む

  • 練習や試合の合間には日陰で休む習慣をつけましょう。パラソルやテントを使えば、紫外線を50%以上カットできます。

④ 紫外線の弱い時間帯に練習する

  • 紫外線が最も強い10時〜14時は避け、早朝や夕方の時間帯に切り替えると、身体へのダメージを抑えられます。

⑤ 傷つきやすい部位を忘れずに保護

  • 耳・首・唇・目元周囲は紫外線が当たりやすく、皮膚がんのリスクも高い部位です。SPF入りリップクリームやスティックタイプ日焼け止めを併用しましょう。

✅ まとめ|習慣にできれば最強

ステップ内容コスト感
1スポーツ用日焼け止め(SPF30〜50)を塗る◎(1000円台)
2UPFウェア+帽子+サングラス着用◯~△(数千円〜)
3日陰で休む
4練習時間を調整
5耳・唇・目回りに保護を忘れずに

記事まとめ:今日から紫外線に負けないアスリートへ

要点の復習

  1. 紫外線による悪影響は肌の色以上に深刻
    • 活性酸素の増加で疲労や筋肉回復の遅延、皮膚バリアの破壊、DNA損傷・免疫低下、創傷治癒の遅れなど、パフォーマンスや健康に直結 。
  2. 学生アスリートの多くが対策不足
    • 日本では6割以上がほとんど対策なし、米国でも半分以上が過去週に日焼け止め未使用という現状 。
  3. 今日からすぐ取り組める5つの対策
    • スポーツ用日焼け止め(SPF30〜50)の塗布とこまめな塗り直し
    • UPFウェア、帽子、UVサングラスの着用
    • 日陰での休憩や練習時間の調整(10–14時を避ける)
    • 耳・首・唇・目元といった忘れがちな部位のケア
  4. ほんのちょっと投資するだけで効果アップ
    • ジェル/スティック型で使いやすい日焼け止めや、UVカット性能の高い帽子・サングラスなどは、“手軽&効果的”なアップグレードできるアイテムです!
       

私が現役時代に使っていたおすすめアイテム

ここまでお読みいただきありがとうございます。
最後に、私自身が独立リーグ時代に実際に使用していた「日焼け対策アイテム」を紹介します。

同じように日々努力しているアスリートの皆さんの助けになれば嬉しいです!!

🕶 サングラス:OAKLEY(オークリー)RADAR EV PATH

アスリートなら誰もが一度は目にしたことがあるかもしれません。
私自身も、夏場のゲームや屋外練習での紫外線対策として重宝していたのが、OAKLEYの「RADAR EV PATH」です。

  • フィット感が高く、激しいトレーニングなどの動きでもズレにくい!
  • UVカット機能はもちろん、視認性も抜群!
  • 長時間着けていても軽くて疲れにくい!

実際に屋外でプレーする選手にとって、目のコンディション管理は非常に重要です。
紫外線から目を守りつつ、プレーの質を保つためにもおすすめの一品です。

▶️ OAKLEY(オークリー)RADAR EV PATH


☀️ 日焼け止め:ビオレ UV アクアリッチ ウォータリージェル SPF50+

屋外競技はとにかく汗をかくので、ウォータープルーフは絶対条件。
私が現役時代に何本もリピートして使っていたのが、この「ビオレ UV アクアリッチ ウォータリージェル」です。

  • 伸びがよく、練習前の短時間でもサッと塗れる
  • 汗や水に強く、屋外でもしっかり持続
  • 比較的安価なので、塗り直しが多くてもケチらずに使える

肌への負担も少なく、べたつかない使用感もポイント。
夏場の練習や試合、長時間屋外にいるすべてのアスリートに、自信を持っておすすめできます!

▶️ ビオレ UV アクアリッチ ウォータリージェル SPF50+


毎日の練習、試合、部活動で全力を尽くすあなたへ──
紫外線対策は「見た目」や「美容」だけの問題ではありません。
それは、回復力を高め、怪我を減らし、毎日ベストで戦い抜くための習慣”です。

いまこの記事を読んでいるあなたは、すでに一歩前に踏み出しています。
今日、新しい習慣を取り入れることは、明日の練習や試合をより自信を持って挑むための武器になります。

焦らず、無理なく、できることから一歩ずつ実践していきましょう。
日焼けに負けない強いアスリートとして、これからの競技人生をますます輝かせてください!

紫外線対策とあわせて、夏の熱中症対策も知っておきたいところ。
👉 【近日公開予定:アスリートのための熱中症対策ガイド】

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